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〈超〉読書法

書誌情報

【単行本】

• ［著者］小林信彦
• ［出版社］文藝春秋
• ［発行日］1996/05/25
• ［ISBN］4-16-351620-4
• ［PAGE］261
• ［価格］1,600円（本体1,359円）
• ［装幀］多田進

【文庫】

• ［著者］小林信彦
• ［出版社］文藝春秋（文春文庫）
• ［発行日］1999/05/10
• ［ISBN］4-16-725608-8
• ［PAGE］301
• ［価格］457円 + 税
• ［装幀］多田進
• ［装画］村上基浩
• ［解説］池上冬樹

新井素子関係の内容

エッセイ：「暗い記憶とホラーの熱帯夜」

• 【ページ】単行本版P.159-160／文庫版P.177
• 【備考】初出は『週刊文春』1994年9月15日号。

小説『おしまいの日』とエッセイ集『近頃、気になりません？』への言及があります。

新井素子の前作「おしまいの日」は、ソフトなドメスティック・ホラーだったが、「近頃、気になりません？」（廣済堂出版）は、日常を描いたユーモア・エッセイである。

〈九回目の結婚記念日を迎えた〉〈それなりに仲のいい夫婦〉の日常なんてものは、はっきりいって他人には面白くない。お好きなように、てなもんである。

それをそう思わせないのは、独特の一人称スタイルのせいだ。

たとえば、

〈……どんどん、改善してゆこうじゃないの、旦那の食生活。〉

とか、

〈今の旅行では、タクシーをばんばん使っちゃう。……それ、何か文句、ある？〉

という部分。

ふつうだと、〈何か、文句ある？〉と書いてしまうのだが、〈文句〉と〈ある？〉の間に、点を入れたために、より開き直った感じが出る。

新井素子さんは〈フツーの話し言葉〉で小説を書くことの開拓者の一人だと思うが、こういうところがちがうのだな。しかも、〈重畳〉なんて古いコトバを使っているので、いよいよ不思議な感じがする。

収録エッセイ

• はじめに
• 第I部　〈超〉読書法
  • 第一章　どこで、どういう姿勢で読むか？
  • 第二章　本という道具の使い方
  • 第三章　面白い本の探し方
  • 第四章　〈速読術〉は可能か？
  • 第五章　本をどのように収納し、どう処分するか？
• 第II部　マディソン郡の謎
  1. ぼくの立場
  2. ニール・サイモンの教訓
  3. 同時代史の興味深さ
  4. 日記の勝手な〈使い方〉
  5. 〈怪物〉の作り方
  6. 〈お稽古事〉派批評の差別主義について
  7. 野口冨士男さんのこと
  8. マディソン郡の謎
  9. 惜しい小説「バッド・デザイア」
  10. 一九九四年のベストワンは決まった！
  11. 永井荘吉（荷風）の逆襲
  12. 「バナナ・リパブリックの憂鬱」と孤立
  13. 旅先で本探し
  14. 安藤鶴夫と植草甚一
• 第III部　狂乱読書日記
  • 「鬼平犯科帖」に出てくる寺で
  • 谷崎潤一郎をめぐる知的な冒険
  • 日本の政治と〈大新聞〉に憤る人のために
  • 山下達郎からロッド・サーリングまで
  • 典雅なユーモアをたたえた「母の影」ほか
  • 暗い記憶とホラーの熱帯夜
  • 〈ジャンル小説〉と「ジンジャー・ロジャース自伝」
  • ブロードウェイからエルヴィスまで
  • 日日是雑読
  • 気が滅入ったときに読む本の数々
  • テレビの故障は読書のプラスになるか日記
  • 虎の尾を踏む心地して
  • 想い出はかくのごとく
  • 読書的二都物語
  • 〈敗戦前後〉を知るための必読書ベスト5
  • マニアックな映画本のマニアックな読み方
  • 芸能をめぐるフシギな雑学
  • ジャック・フィニイの死、その他の死
  • 「ある日突然、縛られて」と「ビリー・ワイルダー自作自伝」
  • 〈町殺し〉との戦いの中で
• あとがきに代えて――なぜぼくは本を読むのか？
• （文庫版のみ、「文庫版のためのあとがき」を収録）

「第I部」は書き下ろし。「第II部」は『本の雑誌』1993年8月号〜19994年9月号、「第III部」は『週刊文春』1994年3月3日号〜1996年3月21日号に掲載された。