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鳩よ！　1987年10月号

書誌情報

大特集：日本の有名人100人がえらんだ「こころの詩」（P.3-57,66-81）

現在までに深い感銘をうけた、或いは、何らかの影響をうけた詩、演歌、童謡、短歌、俳句などの中から一篇のタイトル、および作者を挙げていただく

P.58より。著名人へのアンケートを元に組まれた特集です。誌面には59名が登場しています。各1〜2ページに選ばれた詩（抄録もあり）とその理由が掲載されています。

下記リストの職業・肩書、作品ジャンル・作品タイトルは原文ママ。

  1. ジェームス三木（脚本家）……漢詩（伊達政宗）
  2. 岡本太郎（画家）……わらべうた：「通りゃんせ」
  3. 斉藤由貴（歌手）……詩：「あのときかもしれない 四」（長田弘）
  4. 宇野千代（作家）……詩：「帰郷」（萩原朔太郎）
  5. 江川卓（プロ野球選手）……歌謡曲：「いい日旅立ち」（谷村新司／歌・山口百恵）
  6. 中原誠（棋士）……詩：「サーカス」（中原中也）
  7. 夢枕獏（作家）……詩：「永訣の朝」（宮沢賢治）
  8. 川谷拓三（俳優）……童謡：「赤蜻蛉」（三木露風）
  9. 大原麗子（女優）……詩：「生きる」（谷川俊太郎）
  10. 山田太一（脚本家）……詩：「或る朝の」（吉野弘）
  11. 仲畑貴志（コピーライター）……漢詩（井上有一・「井上有一絶筆行」より）
  12. 露木茂（アナウンサー）……校歌：「早稲田大学校歌」（相馬御風）
  13. 中曽根康弘（政治家）……俳句（中曽根康弘）
  14. 土井たか子（政治家）……短歌（与謝野晶子・「みだれ髪」より）
  15. 竹下登（政治家）……聖書：「ルカ伝第13章24節」（ジイド「狭き門」巻頭引用より）
  16. 安倍晋太郎（政治家）……短歌：石川啄木（「一握の砂」より）
  17. 宮沢喜一（政治家）……歌謡曲：「カチューシャの唄」（島村抱月・相馬御風）
  18. 森下洋子（バレリーナ）……物語（「中将姫物語（蓮のしおり）」より）
  19. 泉麻人（エッセイスト）……歌謡曲：「かまっておんど」（つかこうへい／歌・大竹しのぶ）
  20. 江戸家猫八（演芸家）……詩：「鯨尺の二尺ざし」（サトウハチロー）
  21. 小松左京（作家）……ことば（ヴォルテール）
  22. 湯川れい子（作詞家）……詩：「ひびく　たましい」（八木重吉）
  23. 中沢新一（文化人類学者）……ドイツ民謡：「魚に説教するパドゥアの聖アントニウス」
  24. 景山民夫（作家）……狂歌（三遊亭金馬がよく使っていた落語のまくら）
  25. 佐々木信也（野球評論家）……狂歌（大田蜀山人）
  26. 吉田ルイ子（写真家）……童謡：「月の沙漠」（加藤まさを）
  27. 今井通子（登山家・医師）……入門書（カストン・レビュファ／近藤等訳「雪と岩」より）
  28. 池部良（俳優）……詩：「恥」（ランボー／平井啓之訳）
  29. 立原えりか（童話作家）……短歌（狭野茅上娘子・「万葉集」より）
  30. 斎藤茂太（精神科医）……短歌（斎藤茂吉）
  31. 青木雨彦（エッセイスト）……詩：「接吻の後に」（三木露風）
  32. 黒鉄ヒロシ（漫画家）……詩：「猫」（萩原朔太郎）
  33. 大林宣彦（映画監督）……詩：「ひそかなるひとへのおもひ」（福永武彦）
  34. 久世光彦（ディレクター）……詩：「含羞　在りし日の歌」（中原中也）
  35. 宗茂（マラソンランナー）……ポピュラー：「WINNING RUN」（小坂恭子）
  36. 小島功（漫画家）……短歌（西行法師）
  37. いとうせいこう（コメディアン）……ことば（セント・ビクトル・フーゴー／柄谷行人訳）
  38. 中畑清（プロ野球選手）……歌謡曲：「雪国」（吉幾三）
  39. 紺野美沙子（女優）……ポピュラー：「DANG DANG」（松任谷由実）
  40. 三國連太郎（俳優）……民謡：「江差追分」
  41. 石川六郎（財界人）……ことば
  42. 山城新伍（俳優）……詩：「意気なホテルの」（北原白秋）
  43. 鈴木義司（漫画家）……歌謡曲：「うちの女房にゃ髭がある」（星野貞志）
  44. 鴻上尚史（演出家）……詩：「鳥羽」（谷川俊太郎）
  45. 荒木経惟（カメラマン）……日記（永井荷風「断腸亭日乗」より）
  46. 嵐山光三郎（作家）……歌謡曲：「リンゴの歌」（サトウハチロー）
  47. 小田島雄志（文学者）……詩：「春日狂想」（中原中也）
  48. 塩田丸男（評論家）……短歌：「供養塔」（釈迢空）
  49. 小林恭二（作家）……短歌（高柳蕗子）
  50. 池田裕子（TVキャスター）……物語（「平家物語」より）
  51. 黒田杏子（雑誌編集長）……俳句（松尾芭蕉）
  52. 桂米丸（落語家）……歌謡曲：「青い山脈」（西条八十）
  53. 桂三枝（落語家）……歌謡曲：「胸の振子」（サトウハチロー）
  54. 松田聖子（歌手）……童謡：「むすんでひらいて」）
  55. 蜷川幸雄（演出家）……詩：「静かな　焔」（八木重吉）
  56. 安部譲二（作家）……詩：「旅へのいざない」（ボードレール）
  57. 新井素子（作家）……詩：「盲目の秋」（中原中也）
  58. 瀬戸内寂聴（作家）……詩：「春」（安西冬衛）
  59. 森光子（女優）……短歌（俵万智・「サラダ記念日」より）

P.58-59には、他の回答者名とその回答が46名分掲載されています。

谷川俊太郎（詩人）／新川和江（詩人）／荒川洋治（詩人）／白石かずこ（詩人）／ねじめ正一（詩人）／平出隆（詩人）／清水哲男（詩人）／諏訪優（詩人）／辻征夫（詩人）／井坂洋子（詩人）／白石公子（詩人）／北村太郎（詩人）／正津勉（詩人）／佐々木幹郎（詩人）／鈴木志郎康（詩人）／阿部岩夫（詩人）／中江俊夫（詩人）／上田哲（政治家）／柿沢弘治（政治家）／秦豊（政治家）／星新一（作家）／結城恭介（作家）／利根川裕（作家・キャスター）／岡野俊一郎（日本サッカー協会理事）／戸井十月（ルポライター）／西和彦（エンジニア）／増田れい子（新聞論説委員）／井上宗和（城研究家）／岡田光雄（クイズ作家）／愛川欽也（タレント）／アキコ・カンダ（舞踏家）／福井謙一（化学者）／加藤一郎（科学者）／家永三郎（歴史学者）／篠沢秀夫（文学者）／岸田秀（精神分析学者）／稲見宗孝（財界人）／市川森一（脚本家）／浅井慎平（カメラマン）／三留理男（カメラマン）／松本享（経済評論家）／奈良林祥（医事評論家）／鯨岡阿美子（服飾評論家）／石津謙介（デザイナー）／目加田頼子（アナウンサー）

星新一が挙げていたのは、母校・旧東京高師付属中学の歌「桐蔭会歌」でした。

新井素子関係の内容

私の出会った詩：「盲目の秋」中原中也｜作家　新井素子（P.78）

1ページをまるまる使い、「盲目の秋」と新井素子さんの写真・コメントが掲載されています。（ちなみに、隣のページは瀬戸内寂聴でした）

コメントによれば、一番熱心に詩を読んでいたのは高校時代で、ご友人と作っていたイラスト同人誌に載せるイラストの元になるような詩を探していた時に「盲目の秋」に出会ったそうです。いまだに印象深い、とのこと。

「ラビリンス――迷宮――」との関係

『ラビリンス――迷宮――』のトクマ・ノベルズ版、徳間文庫版、徳間デュアル文庫版にはエピグラフとして「盲目の秋」の一部が掲載されています。しかし、最初に出版された単行本にはそのエピグラフは存在せず、あとがきに、

あ、あと、このお話には、中原中也と泉鏡花読んで、私の頭の中にうかんだイメージも、ちょっとはいってます。どーこだ？

と書いてあるのみでした。（参照→関連文献「盲目の秋」）

どうして新書版からエピグラフを付けることになったのか、その経緯は不明です。

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