新井素子研究会 > 著作リストTOP > 作品収録書籍 > 読むことからの出発
読むことからの出発
書誌情報
新書
- ［編者］現代新書編集部
- ［出版社］講談社（講談社現代新書）
- ［発行日］1984/03/20
- ［ISBN］4-06-145726-8
- ［PAGE］185
- ［価格］420円
- ［カバー・カット］宇宙の中心にそびえたつメール山（須弥山）＝１７世紀のジャイナ教の写本より
- ［備考］各界で活躍中の29氏が語る読書にまつわる”とっておきの話”
収録エッセイ
- 「本との出会い」――新井素子
- 「読書について」――糸川英夫
- 「本当に重要なことは本には書いてない」――飯田経夫
- 「政治家にとって読書とは」――江田五月
- 「「読み屋」という肩書」――板坂元
- 「本とのめぐりあい」――大山康晴
- 「本と風景」――岩田慶治
- 「本よ、お前は永遠のメディアだ」――栗本慎一郎
- 「ライフサイクルに応じた読み取り」――小此木啓吾
- 「英語の本を読むたのしさ」――小林克也
- 「若いうちはいっしょに読もう」――小田島雄志
- 「ふみよむ月日」――佐治啓三
- 「たかが本、されど本」――落合恵子
- 「乱読のすすめ」――三遊亭円楽
- 「本をえらぶ技術」――加藤秀俊
- 「紙の小宇宙」――杉浦康平
- 「本を読まない学者の弁」――河合隼雄
- 「十銭からの旅立ち」――鈴木健二
- 「蜜月のとき」――澤地久枝
- 「あげてしまった本」――高田宏
- 「読書と人生」――田辺聖子
- 「生きる支えになった本」――中野孝次
- 「弱虫の読書」――外山滋比古
- 「転変の楽しみ」――日高敏隆
- 「読書に関するＱ＆Ａ」――村上龍
- 「どうも、本をすすめたりするのは苦手なんです」――南伸坊
- 「娘とカーミラのことなど」――山田太一
- 「一枚の写真から」――安岡章太郎
- 「読書のすすめ」――渡部昇一
新井素子関係の内容
エッセイ：「本との出会い」
- 【文】新井素子
- 【ページ】8-13
- 【備考】写真有り
本文中に登場する作家
覚え書
このエッセイの中にある詩のことが出てきます。中学に入って初めての国語の授業で読んだこの詩によって初めて詩の読み方が判った、と書いてあります。
それは（今でははっきり覚えていないのですが）、草原に腰をおろして、絵を描いている少女について書かれた詩だったと思います。むこうにはずっと、青い空がひろがっていて、少女の絵は、一面の青なんです。
これは木山捷平の「遠景」という詩だそうです。
こんな詩です。『木山捷平全詩集』（講談社文芸文庫）より。
草原の上に腰を下ろして
幼い少女が
髪の毛を風になびかせながら
むしんに絵を描いてゐた。
私はそつと近よつて
のぞいて見たが
やたらに青いものをぬりつけてゐるばかりで
何をかいてゐるのか皆目わからなかつた。
そこで私はたづねて見た。
――どこを描いてゐるの？
少女はにつこりと微笑して答へてくれた。
――ずつと向うの山と空よ。
だがやつぱり
私にはとてもわからない
ただやたらに青いばかりの絵であつた。
〈書籍の情報はあかいくつさんより、木山捷平「遠景」の情報は臣さんより教えて頂きました。ありがとうございました。〉