特集 −「場所」−
新人批評家発掘・育成イベント「東浩紀のゼロアカ道場」第四回関門の課題として製作された同人誌です。2008年11月9日に行われた第7回文学フリマにて販売されました。
目次にはこのように書いてあります。
スウィフト『ガリバー旅行記』で、巨人国やリリパット国に行った後にガリバーが訪れた唯一実在する国「日本」。1709年5月、彼は江戸に程近い小さな港町「ザモスキ」に上陸した。それから300年。私たちの「場所」に対する想いのすべてを、この「Ｘ」で始まる不思議な地名を冠しあなたへ届ける。
聞き手は編集人の井上ざもすき氏と藤田直哉氏です。P.19より。
「僕は故郷（北海道）を愛していないから、東京へ出てきた」（藤田）
「自分の生まれたところ（練馬）を愛するのは当然」（井上）
この差はどこから生じるのであろうか。ふたりだけの議論では、それが普遍的な「地方｜都会」の対立であるのか、あるいは単なる個人の志向であるのか、さらには東京の中でも「練馬」が特別であるのか結論は出なかった。そこで、井上と同じく練馬に生まれ育ち、練馬を舞台とした作品を多く発表されているＳＦ作家の新井素子氏にお話しをうかがった。
インタビューは当初、新井氏が「練馬愛」を存分に語った「『ネリマ大好き』（1992年徳間書店刊）その後」という体裁をとりつつ、東京の中の田舎である練馬の特殊性についてから始まり、いつしか話題は練馬をベースとしながら、新井作品の根本を支える生命論、キャラクター論、家族論に広がっていった。土地と結びついた生命観、家族観は、ゼロ年代を終えてこれから先を生きようとする人々に対して示唆が大きいのではないだろうか。（井上ざもすき、藤田直哉）
ゼロアカ道場第四回関門に挑戦した同人誌を収録した本『東浩紀のゼロアカ道場 伝説の「文学フリマ」決戦』が2009年3月に講談社より発売されました。
『Xamoschi』も完全収録されています。