アイドルの富田靖子（当時16歳）が、小説を朗読し紹介する番組。この週は新井素子さんの『通りすがりのレイディ』が取り上げられました。
朗読と言っても小説を直に読むのでなく、原文から台詞やモノローグを抜き出して再構成したものを読んでいます。範囲は原作小説P.42の麻子さんが手に持っていたトレイを床に落っことした場面まででした。
富田靖子はこの時熱心な新井素子ファンだったようで、『通りすがりのレイディ』も番組と関係なく既に読んでおり、最終日には、
「ふっふっふ、これからなんですよね、面白くなるのは」
「ほんっとに面白いです！」
「新井素子さんの小説っていうのは、登場人物がいますよね、その、なんか、お話のやりとりがあたしすごく好きなんですよね」
と強力にリスナーにお勧めする程でした。
ちなみに、『週刊少女フレンド』1985年4月20日号（4月5日発売）に新井素子・富田靖子対談が掲載されているのですが、彼女の強い要望で実現した、と書いてありました。このページに載っているお二人連名のサイン色紙を見ると3月6日と書いてあるので、対談が行われたのはこの番組の放送期間中だったようです。
第2日（3月5日）の放送では、「新井素子さんはもうすぐ結婚をなさるという噂」という話が出ていました。どこで聞いた噂なのかは判りませんが、この後、同月21日付け朝日新聞の『FRIDAY』の広告に、
ＳＦ作家・新井素子さん大学同級生と結婚へ
という見出しが踊り、翌日発売されたその『FRIDAY』4月5日号には、表紙に、
新井素子（ＳＦ作家）がクラスメイトと平凡結婚
という見出しと、
『SF作家新井素子さん 大学同級生と結婚へ 「同じ風に吹かれてみたい」がプロポーズ』
というタイトルの記事が掲載され、そして同月24日にめでたく結婚式が行われる、という一連の流れがありました。写真週刊誌に取り上げられるくらいだから、有名な話だったのかも知れません。