No.340
高橋良平による新刊紹介のコーナー。P.117に新井素子さんの名前が出て来ます。
今は亡き”奇想天外”誌は、新井素子、夢枕獏のデビューのきっかけになっただけではなく、数々の遺産をＳＦ界に残している。都筑道夫の”未来警察殺人課”シリーズもそのひとつ。常々、ＳＦの書きにくさを語る著者のこのシリーズが最初にはじまったのも”奇想天外”で、ＳＦＡ誌に載った八篇が『未来警察殺人課[2]』としてまとまった。地球を失った人類が移民したもうひとつの”地球”惑星。そこではテレパシーによって犯罪は防がれ、殺人志向の持ち主は、公認されない殺人課によって処理される。それぞれの作品、他に追従をゆるさぬ著者の奇抜なアイディアでピリッと楽しめるオシャレなもの。私など、主人公の星野という名前を聞いただけで、つい、「一〇〇発一〇〇中」シリーズの宝田明の顔を思いうかべてつい良い気分になってくる。ハイカラというか、ソフィスティケイテッドという言葉の見本が、ここにある。