No.314
早川書房のSF関連書籍を販売している書店さんによるエッセイです。「今月のブックガイド」（P.216-217）のページに掲載されました。文中に新井素子さんの名前が登場してきます。
一九八Ｘ年九月○日。今日、店の床が抜けた。早川文庫の重みに耐えかねたらしい。十一月。その際ＳＦしてしまったらしく、妙な客が増えた。冬中ランニングシャツ一枚で過した客。本屋さんごっこしてよとせがむ幼稚園児。さっき戦闘服を着たネズミに会った。早川の棚に向かって合掌する者。今度、賽銭箱を備え付けておこう。一九八四年某日。今週の人気投票一位グイン。二位犬神明。同、作家一位、栗本薫。新井素子。同年三月。新井素子先生サイン会。先生の、抜け落ちた一本の黒髪を隅の方で切り売りしていた。どうも過激な客が多い。ウヌ。早川帝国中間管理職である我々は自ずと立ち上がらざるを得ぬ。全国のＳＦ・ミステリファン、マニア、鬼、を自認する諸君！ 小倉に来たれ。来て我々と戦い、鼻をあかし、首をかっ切ってみよ。我々は決して背を見せぬ。挑戦はいつでも受けてたとう。皆様の御来店を、心からお待ち申しあげております。
（福家書店Ｔ・Ｍ＆Ｓ・Ｙ記）