PHP研究所が刊行する月刊文庫『文蔵』の2008年8月号〜2009年9月号に連載された作品に加筆・修正を施し単行本化されました。帯には内容についてこのように書いてあります。
米国同時多発テロも、あの大地震も、犠牲者はゼロ！？
24世紀からやってきた”彼ら”の目的は、「人を不幸から守ること」だった……
P.348に新井素子さんの名前が出て来ます。
君も知っての通り、僕は一九七八年、二二歳の時に、短編「スタンピード！」で『奇想天外』新人賞の佳作になった。本当なら、それを足がかりに、一気にプロ作家としてデビューするべきだった。だが、期待感や自信が逆に重荷になって、ひどいスランプに陥ったのだ。自分は作家になれるはず、もっとすごい小説が書けるはずという確信と、実際に書いている文章のギャップ。自信や夢ばかりが空回りし、まったく原稿が書けない日々が続いた。同期に『奇想天外』新人賞の佳作になった新井素子さんが、どんどん頭角を現し、メジャーになってゆくのを横目で見て、憧れとあせりを感じていた。
この物語は私小説風に書かれており、主人公は著者の山本弘氏自身です。第1回奇想天外新人賞の選考結果が発表されたのは『奇想天外』1978年2月号（1977年12月発売）でした。佳作に選ばれた5人の中に新井素子さんと山本弘氏がいました。
新井素子さんが「メジャーになって」いった1980年代前半、山本氏は雑誌『ファンロード』の常連投稿者でした。氏による「素子姫」（誌上での新井素子さんの通称）ネタの投稿や漫画が掲載されました。（→「素子姫の部屋」興亡史）
尚、「12.転落」は『文蔵』2009年7月号に掲載されましたが、引用した部分はそちらには無く、単行本化に際し加筆されたと思われます。（この号の山本氏による連載コラム「僕が影響を受けたSF作品」では、新井素子さんの『ひとめあなたに…』が紹介されています）