谷山浩子との対談です。P.50にこの短編の話題が出て来ます。
新井 日本のSF作家って、わりと読みやすい人多いですよ。あたし、外国のがほんと全滅だから。ブラッドベリとノースウェスト・スミスぐらいしか読んでない。
谷山 あ、ブラッドベリも読んだ。あれもSFなんですか？
新井 どうなんでしょ。一応SFん中にも入ってるんでしょうけど。ものによってはSFじゃないですよね、完全に。
谷山 すごいファンタジックで、なんかSFっていうイメージとちょっと違う感じだったなあ。
新井 んー、だからSF好きな人はSFん中に入れちゃえば。
新井 あれ、何て言ったっけ？ あの、吸血鬼の話ありましたでしょ。
谷山 妖怪が集まる話じゃないですか？
新井 じゃないんです。タイトルなんつったかな。読んだのわりと昔でよく憶えてないんだけど、男の子がいて、下宿人が来るわけ。で、男の子だけ下宿人が吸血鬼だって、何かのきっかけでわかるんですよね。そいで、みんなに言っても信じてもらえなくて、男の子が一人で、吸血鬼が寝てるときに銀の十字架だったかフォークだったかおしつけて吸血鬼そのまんま寝かしといて、おなかを開けてね、内蔵引っぱり出しちゃうの。それが全然ぬとぬとーとか、血がべとべとーってイメージなしですごく透明なんですよね、雰囲気が。あたし、あれいちばん好きだった。（編集部註：『二階の下宿人』）