P.248に「グリーン・レクイエム」イメージ・アルバムの話題あり。
――難波さんはこの間『グリーン・レクイエム』のイメージアルバムを出されましたね。
難波 ええ、そういうジャンルのレコードって今、すごく大きなマーケットになっていることはたしかなんだけど、結局買うのは音楽ファンじゃなくて。作者や物語が好きな人が買うわけでしょう。だから普通の音楽を作るつもりでやると、いろいろとマニアが言ってくるんです。ぼくはどういうわけかマニアだったので、マニアの気持ちも分かっちゃうんで逆にあんまりやらなかった。だけど『真幻魔大戦』の時も、何やってもいいよって言われてので、じゃあうちのバンドのLPにしちゃえ、というふうにしてつくった。素子ちゃんの時も「どうぞご自由に」みたいな感じだったから。それにあれは、わりに原作と切りはなして聴いてくれる人がけっこういたし、原作とくっつけて考える人からの非難も全然なかったし……。
そうる 原作のイメージばかり考えてると、テレビドラマの音楽作るのと同じになっちゃっておもしろくなくなっちゃう。
難波 『真幻魔大戦』の時は制約がなかったし、『グリーン・レクイエム』は構成の人がいたから曲名とイメージを出してもらって、『ダロス』も絵コンテと最初のシノプシス見て……とにかく自由にやっています。
P.250にも。
難波 たまたま、安西君とかぼくがSF好きだから『ダロス』やったり『八犬伝』やったりして、なんだこれ素子ちゃんのじゃないか、なんだ平井和正じゃないとか、そういうことになるわけある種の団体作って、その中で仕事できるようになれれば、それがいちばんおもしろいね。
新井素子の新刊『あなたにここにいて欲しい』が出た。これは著者十三冊目の本にあたる、書き下ろし長編である。千二百枚のコメディのあとに、「暗い話」が書きたくなって――と「あとがき」にある。
主人公は二本木真実という二十三歳のパッケージデザイナー。親友である加賀祥子の失恋話をきいてあげているところから話が始まる。ごくさりげない出だしだ。しかし、藤原綾子と宇野巧という二人が登場してから、物語は急展開を始める……。実は祥子は念動力者だったのだ。
ピンク・フロイドの『あなたがここにいて欲しい』という曲から生まれた、ちょっぴり大人っぽい素子ファン待望の本だ。