「ミステリ・ファン必読のアンソロジー」のこの本に、なぜかあの「ライツヴィル殺人事件」が掲載されております。もちろん吾妻ひでおのイラストと新井素子さんのツッコミも当時のまま。編集者の秋山さんがワセダ・ミステリクラブの出身とは知りませんでした。
解説には「ライツヴィル殺人事件」は『PHOENIX』62号（昭和44年10月刊）が初出とあります。「ひでおと素子の愛の交換日記」（『バラエティ』誌連載）では、「犯人当てクイズ」と「ライツヴィル殺人事件（後編）」の前後編で掲載されました。この文庫では「III これは知らないでしょう――日本編」の章に両方とも収録されています。（新井素子さんの著書では『続 ひでおと素子の愛の交換日記』『ひでおと素子の愛の交換日記2』所収）
巻末の収録された北村薫と有栖川有栖の対談です。P.387に「天下の新井素子もびっくりのセレクト」という章があります。編者の北村薫がさるパーティでこの本に「ライツヴィル殺人事件」を収録することを新井素子さんに話した時の模様が語られております。
北村 『ライツヴィル殺人事件』ですが、これを最初に読んだときに私は大喜びしてしまいました。とくに”半面打撲”を初めとするという言葉の妙。作者を知っているだけに、こうでられちゃしょうがないな”っていう感じがして、諸手をあげて喜んだんですよ。秋山狂一郎さんというのは編集者で新井素子さんの担当をしていたんだけど、今回のバージョンは原典に新井さんのつっこみやなんかが入ったものなんですね。読者がいろいろ考えるところにも本格の喜びがあるわけで、そんなところがこの作品には出ているんじゃないかと思います。この間、あるパーティで新井素子さんにご挨拶したら、「話を聞いて私は、本当ですか本当ですか本当ですか本当ですか、と四回言ってしまいました」とおっしゃってました。天下の新井素子に『本当ですか？』と四回言わせたセレクトである、と（笑）。
有栖川 それだけでもお手柄じゃないですか（笑）。
〈Maggyさんから情報をいただきました。ありがとうございました。〉